広大な土地の評価が変更されます!

広大地から地積規模の大きな宅地へ

2017/11/29  2017/11/29

<目次>

「地積規模の大きな宅地の評価」は、課税時期が平成30年1月1日以降の場合に適用します。

1.改正前の問題点

 改正前までは広大な土地の評価を行う際、いくつかの要件を満たす場合、「広大地評価」を行うことにより大きな減額を受けることが出来ました。しかし、ここで使用する広大地補正率は、面積に応じて比例的に減額をするもので、個別の土地の形状などを考慮しない評価額が算定されていました。そのため、広大地補正率を使用して計算した相続税評価額と、その土地の形状等を加味して決まる実際の取引価額が乖離する場合があり、問題となっていました。

 また広大地評価を行う際、適用要件に不明確な部分があり、適用を検討するに当たって納税者や税理士を悩ませるものでありましたが、改正によりこの点も明確化されることとなりました。


2.地積規模の大きな宅地の評価

 今回の改正に伴い、これまでの「広大地評価」は廃止され、新たに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました。

 「地積規模の大きな宅地」とは、三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地をいいます。

(注)
次の1から4のいずれかに該当する宅地は、「地積規模の大きな宅地」から除かれます。
1. 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
2. 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
3. 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
4. 評価通達22-2に定める大規模工場用地

三大都市圏とは、次の地域をいいます。
a. 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
b. 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
c. 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域


3.適用対象となる宅地

 「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。


4.適用対象地の判定

 以上の適用要件等は以下のフローチャートで判定を行うことができます。


地積規模の大きな宅地のフローチャート
(国税庁HPより)


5.具体的な評価方法

5-1.路線価地域の場合

 「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。


路線価地域の場合の評価方法
(国税庁HPより)

5-2.倍率方式の場合

 「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、次に掲げるイの価額とロの価額のいずれか低い価額により評価します。

  • イ その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
  • ロ その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率、不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額


6.宅地以外の土地に対する適用

6-1.市街地農地等

 上記において記載した適用要件を満たせば適用可能となります。

 ただし、宅地への転用が見込めないと認められる場合には適用対象となりません。

 なお、個々の農地等の状況に応じた宅地造成費相当額については、地積規模大きな宅地の評価を適用した後に別途控除して評価を行うこととなります。

6-2. 雑種地

 その雑種地の状況が宅地に類似する場合、または、市街地農地等に類似する場合で、上記において記載した適用要件を満たせば適用可能となります。


7.適用時期

 平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用されることになります。